5分で読める書評ブログ

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ユニークな戦略の描き方 【戦略「脳」を鍛える】

本日紹介する一冊は『戦略「脳」を鍛える』です。

著者の御立尚資(みたて・たかし)さんは、ボストンコンサルティング日本代表を11年間勤めてらっしゃったトップコンサルタントの一人でそんな方が書かれた

戦略発想の本ですので、コンサルタントの方はもちろん、企業の経営企画に携わる方や、コンサルを目指している就活生にとっても為になる本なのではないかと思います。

今回は下記の内容にてまとめたいと思います

 

目次

Ⅰ ユニークな戦略の作り方

Ⅱ 思考のスピードの上げ方

Ⅲ 3種類のレンズ及びその使い方

 

Ⅰ ユニークな戦略の作り方

そもそも戦略とはどういったことを指すのかといいますとこの本では

戦略  ありたい姿  現状

すなわち、企業がこういうった姿になりたいと考えたときに現状からどのようにして

そこまでたどり着くことができるかということを意味しています。

では戦略とはどのような戦略がいいのか?

それは「ユニーク」な戦略です。

なぜかといいますとユニークさのない戦略、周りがやっているような戦略をしていていも企業間の競争で優位なポジションにつくことができないためです。

そこで一つの疑問が生じます。

どうすればユニークな戦略を生み出すことができるのか?

著者はこの答えに対して以下の式で答えています。

ユニークな戦略定石インサイト

定石というのはいわゆる経営戦略の本などでも紹介されている一般的に知られている戦略です。たいていの人はここしか勉強していないためありきたりな戦略を生み出してしまいます。この本で紹介するのはこちら側ではなく続くインサイトの部分です。

インサイトとは勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方や、ユニークな視座のことを示し

以下の2つの要素に分解できます。

インサイト  思考スピード  レンズ

思考スピードは次の項目で詳細に触れますが簡単に言いますと

定石を応用し仮説を立証し検証するスピードのことを言います。

レンズは物事の見方の部分でこれについては最後の項目で触れたいと思います。

ここまでまとめますとユニークな戦略を策定するためには戦略の定石に加えてインサイトと呼ばれる部分が必要であり、インサイトには思考スピードとレンズという二つの要素があります。これからの項目ではこの二つの要素について詳しく触れていきます。

Ⅱ 思考スピード

先述した通り思考スピードとは

定石を応用し仮説を立証し検証するスピード

のことを意味しこれは以下の要素に分解されます。

思考スピード  パターン認識  グラフ発想) × シャドウボクシング

これらの要素についてこれから説明していきます。

パターン認識について

パターン認識とはいわゆる戦略論のエッセンスのことを指します。

これを覚えておくとなぜ便利なのかといいますと、論理をゼロから積み上げることなしに定石の組み合わせをスピーディに行えるためです。

例えば数学の問題を解くときにわざわざ三平方の定理を証明してから公式を使う人はいませんよね?またこれを公式として使うことができるからこそ道具として用いてより難しい問題を解くことができます。パターン認識も同じでこの数学でいう三平方の定理のような戦略論ではよく使われる公式のようなものを押えることでスピーディに戦略を策定することができます。本書では十数個と様々なパターンが紹介されておりましたので

ピックアップして紹介します。

✔スケールカーブ

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グラフ中の四角形はそれぞれある会社を表しているのですがたくさん供給している会社ほど安いコストで生産できていることが分かります。このようにスケールカーブとは生産規模の大きさがコスト競争力に直結し、規模が優位になる業界に起こる現象です。

具体的には、紙パルプや化学工業などがこの業界に当たります。

✔エクスペリエンスカーブ

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グラフ中の三角形はそれぞれ各会社を表しているのですが、累計生産量が大きい企業が低いコストで生産できているのが分かります。このようにエクスペリエンスカーブとは同種の商品を生産する経験を積むほど、コスト低下が起こる業界に起こる現象です

生産過程での効率性が重視されるところでは顕著になります。

✔V字カーブ

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これはある業界内において売上高と収益率の関係を示したグラフです。

図中にも書いている通り収益率が高いのは売上高の高いすなわち規模で戦う企業と

売り上げの低いすなわちある領域に特化している企業では収益率が高く

中途半端な真ん中あたりグループは低収益率に陥るという現象です。

このほかにも様々なパターンが紹介されていましたので気になる方は本書をお読みください。

続いてグラフ発想について説明いたします。

グラフ発想について

グラフ発想とは、右脳を使い戦略を図、グラフとして思考する方法です。

戦略仮説を言葉と論理で考えている間は、どうしても左脳中心とした思考となり、スピードアップに限界があります。言葉と論理をグラフに置き換えることで、右脳中心の思考法となり、思考スピードを一段と速くすることができます。

つづいてシャドウボクシングについて説明します

シャドウボクシングについて

パターン認識、グラフ発想を用いて立てた仮説を批判的な視点で検証することを指します。これを行うメリットは2点あります。

①仮説のレベルアップ

これはいうまでもないでしょう

②他人に理解してもらえる論理ができる

自分で立てた仮説というのは他人にはうまく説明できないものです。自分の仮説に自分でつっこむ過程で他の人にも納得してもらえるような説明をすることができるようになります。

これにて思考スピードについてお話は以上です。

つづいてはインサイトの要素のもうひとつのレンズについてです。

Ⅲ 3種類のレンズ及びその使い方

 レンズとは先述した通り、ユニークな戦術を具現化するために必要な「モノの見方」を指します。レンズの種類は3つありその使い方も3つずつあるので紹介していきます。

①視野を広げる「拡大」レンズ

1.ホワイトスペースを利用する

既存の市場だけでなく、市場と思っていないところも視野を広げて見る

2.バリューチェーンを広げる

バリューチェーンとは自社の活動領域を表す言葉だがここではどこを自社とするか考えることを言います。

3.進化論で考える

進化論とは通常とは長い時間軸で物事をとらえる見方です。例にあげられていたのは自動車会社のスズキです。スズキでは国のGDPがいくら以上になるとバイクが普及する、自動車が普及するということを見越して早めのタイミングで参入することで新興市場のシェアを獲得に成功しています。

②狭く見る「フォーカス」レンズ

1.ユーザーになりきる

一人のユーザーになりきり、ユーザーが感じていることを理解します。

その際に感じた不満などが企業の改善余地となります

2.テコを効かせる

どこを押えれば一番波及効果があるかを考えることです。そこに力をかければ効率よく他も動き出すポイントはどこにあるのかを探します

3.ツボを押さえる

費用対効果の高いツボを探し出し、そのツボをどのように押すと大きな効果が得られるか考えます

③思考をジャンプさせる「ヒネリ」レンズ

1.逆張りする

大部分の人と逆のことをすることを指します

2.特異点を探す

通常のデータとはかけ離れたものを探し観察すること指します

壊血病という病気はビタミンC不足により起こる病気で海の上でビタミンを摂取しずらい船乗りがよく発症して症状なのですが、この病気の解決方法は壊血病を発症しなかった一部の船乗りが果物を食べていたという事実からビタミンによるものだと分かったそうです。このように特異点を分析することで解決策が生まれることがあります。

3.アナロジーを考える

Aで成立したものがBでも成立するのではないか?という見方を指します。

アナロジーをうまく使うためには、普段から事象の表面だけを見ず、本当のメカニズムはどうなっているのかと頭を使うクセをつけることが大切です。

 

レンズの説明は以上です。

 

まとめますと、ユニークな戦術に必要なものは戦術論等の教科書的な定石に加えて、本書で取り上げたインサイトがあります。インサイトは思考スピードとレンズの要素に分けられこの二つの力をつけることで勝てる戦術を策定することができます

ご精読ありがとうございました。

 

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【移動の最先端】『MaaS モビリティ革命 ~モビリティ革命の先にある全企業のゲームチェンジ~』

本日ご紹介する一冊は

MaaS モビリティ革命 ~モビリティ革命の先にある全企業のゲームチェンジ~

です。2018年10月にトヨタ自動車ソフトバンクが新しいモビリティサービスの構築に向けた戦略的提携として設立した新会社「モネ・テクノロジー」の発表の際には両社長がたびたび「MaaS」というフレーズを使っていましたね。

本書はMaaSの基本的な説明からMaaSサービスに派生する新たなビジネスにまで言及されている300ページ越えの濃い内容となっておりますのでなるべく分かりやすく、端的にご紹介したいと思います。

それでは以下の4つの項目に分けて説明したいと思います。

Ⅰ.MaaSとは

Ⅱ.MaaSと日本

Ⅲ.モビリティ事業とMaaS

Ⅳ.他産業とMaaS

 

Ⅰ.MaaSとは

MaaSとはMobility as a Sreviceの略であり言葉の通り移動をサービスとして提供しようという考えです。従来であれば移動手段といえば公共交通機関を除いては自動車や自転車を所有することで手に入れる、すなわちモノを通じて移動を手に入れるものでしたがMaaSでは移動をモノではなくサービスとして提供しようという考えになります。

MaaSの特徴としては大きく2つ挙げられます。

①自動車を保有しなくてもよくなる

MaaSという概念ははもととも2014年にフィンランドのアールト大学のソンジャ・ヘイッキラ氏の論文「Mobility as a Service -A proposal for Action for the Pablic Administration」で初めて紹介されたものであり、この論文での解決したい課題がマイカー依存なのです。フィンランドでは市民のマイカー依存による渋滞、駐車場不足、環境問題が挙げられており、この問題に対してマイカーがなくても移動が困らない社会を実現することをヘイッキラ氏はMaaSという考えで提案しています。MaaSではマイカーに変わる移動手段として電車、バス、公共交通機関に加えてタクシー、カーシェアリングサービス、オンデマンド型の乗り合いバス、といった様々な交通サービスを移動ニーズに合わせて最適な組み合わせをつくり、1つのパッケージとして提供します。

②様々な交通手段が統合される

上記でも少し触れましたがMaaSでは様々な交通サービスを統合し、1つのモビリティサービスとして利用者の移動を支援します。1つのモビリティサービスとは、例えばA地点からB地点まで移動したい場合、MaaSサービスを提供するアプリを用いて経路を検索し、それぞれの経路で用いられる交通手段を一括で予約、決済するものになります。

 

フィンランドではすでに政府主導のMaaSサービス「Whim」というものがあり、一つのアプリですべての交通機関の決済を一括で行うことができます。またWhim Unlimitedというプランでは月額499€(1€≒130円)で市内の公共交通機関、レンタカー、カーシェア、タクシー(5km以内)が乗り放題になります。車を所有してしまうと全く乗らなくても維持費で月300€はかかるのでマイカーを手放しこちらのサービスに移行する方も多く出てきたそうです。

Ⅱ.MaaSと日本

フィンランドや欧米諸国のように日本では未だMaaSサービスの普及はしていませんがここではMaaSサービスの日本におけるインパクについて、地方と東京や大阪といった大都市で分けて説明します。

地方ではマイカー依存社会(移動手段の4~6割がマイカー)でありこれは公共交通機関の衰退、車の運転が難しくなる高齢者の移動手段がなくなる、といった問題があります。そういった地方ではオンデマンド型の配車サービスを普及することで徐々にマイカー依存社会から脱却していきます。

一方、大都市ではすでに公共交通機関の発達もありマイカー依存度は高くありませんが、いまだに各公共交通機関やタクシーなどのサービスは独立しています。そこですべての交通機関を自由に使いこなせるような経路検索、予約、決済が一括でできるサービスが求められます。また乗り継ぎ時には丁寧な経路案内、トラブル発生時には代替手段への乗り換えができるような仕組みがあると混雑トラブルにも対応できます。

またMaaSサービスを提供することにより、MaaSのオペレーターはユーザーの移動というビッグデータを手に入れることができるので行政と連携して街づくりに生かすことができます。具体的には事故が起こりやすい場所、人が来ない場所の把握などをし、全体最適を見据えたまちづくりを行うことができます。

また日本としてMaaS戦略に乗り出す優位性もあります。

個人のビッグデータではすでにGAFAといった企業に覇権を握られているのに対して、交通機関といった産業データではまだどこの企業にもアクセスはされておらず言わばモビリティサービスに関しては未だ日本は鎖国状態なのです。今だからこそ産業データでのプラットフォームを築くことができるのです。

Ⅲ.モビリティ事業とMaaS

それではMaaSが普及する時代において、モビリティ事業をに担う企業はどのような変化が求められるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

自動車メーカー

所有→利用への変化にともなう従来のビジネスモデルの変化への対応することが求められます。販売しておしまいではなく販売後のアフターケア大事になるため、アフターケアを可能にするために部品のIoT化することで各部品の消耗状況の把握等行い車のメンテナンス業務での収益を伸ばします

自動車ディーラー

車両のメンテナンスを行う地域拠点としてMaaSサービスの運用を支えます。

また車室空間のユーザーのニーズの変化をとらえるマーケティングの最先端の場所にもなります。

鉄道

MaaSサービスにより未来の移動ニーズの変化をとらえることができるので、それに合わして時間帯などにより料金を上下させるようなシステムの構築が可能になります。

バス

鉄道の遅れや混雑の際の受け皿としてMaaSを支えます。またMaaSのビッグデータの活用により経路の最適化なども可能になります。

タクシー

MaaSにより各交通機関とのデータが共有できる(どこの駅から人が多くの人が降りてくるか等)ため、稼働率の向上につなげます。

Ⅳ.他産業とMaaS

MaaSが普及するとその影響は上述した従来のモビリティ事業だけでなく一見すると関係のないような産業にもビジネスチャンスは産まれます。本書では様々な業界とMaaSとの関係性が述べられていましたので興味深いところをピックアップして紹介したいと思います。

・不動産×MaaS

MaaSによる移動の利便性の向上のため、地方や郊外であっても地価が高騰する可能性があります。また賃貸住宅の物件にMaaSのパッケージ付けるといったサービス始まるかもしれません。

・保険×MaaS

保険でが以下のような商品が誕生するかもしれません。

MaaSオペレーター向け商品

定額サービス提供時、ユーザーが予想以上に交通機関を利用して赤字の際や貸出のモビリティサービスが盗難にあった際の保険サービス

事業者向け商品

自動運転の事故リスク、ドライバー保険

 

本著のまとめは以上になります。

MaaSのコンセプトからそれがどのように社会に波及していくのかという部分が少しでも伝われば幸いです。

ご精読ありがとうございました。

 

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AIで仕事はどうなるの?【IoT時代のエクスペリエンス・デザイン】

 今回取り上げる1冊は

IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』です。

みなさまIoTとは何かご存知でしょうか?

IoTとは Internet of Things でモノのインターネットと呼ばれ、全てのものがネット上で繋がるようになった状態のことを指します。今回の本はそういったテクノロジーの発展に対して企業はどうあるべきかといったことを提言する内容となっております。

今回は以下の項目でまとめたいと思います。

 

1.エクスペリエンス4.0について

2.エクスペリエンス4.0時代に企業に求められる姿勢

3.AIとの上手な関わり方

 

1.エクスペリエンス4.0について

エクスペリエンス4.0を説明するためにそもそもエクスペリエンスについての説明をしたいと思います。

エクスペリエンスとは企業のブランド体験を意味します。

エクスペリエンス1.0~エクスペリエンス3.0は以下の通りです。

エクスペリエンス1.0

PCやOSを使用したときの満足感等のことを意味します

この段階でエクスペリエンスという概念が生まれました

エクスペリエンス2.0

エクスペリエンスが企業の差別化のドライバーとなります。

これを利用したのがAppleスターバックスです。iTunesではCDのように所有するのではなくて、音楽を聴くという体験に価値を見出します。1杯のコーヒーよりもネットが繋がる第三の場所という体験に価値を見出します。

エクスペリエンス3.0

FacebookTwitter等で代表されるSNSの存在により個人の体験が瞬く間に集団の体験へと共有される時代を指します。

この時代には顧客のエクスペリエンスを共有できるようなプラットフォームの創造が企業に求められます。従来のような企業からマスメディアを用いた一方的なブランディングではなく、顧客による推奨や評価の力を用いたブランディングが求められる為です。

例えばナイキ社ではNIKE+というランニング結果などをユーザー同士でシェアできるコミュニティを作製しています。

 

そして本書で取り扱うエクスペリエンス4.0です。

エクスペリエンス4.0ではエクスペリエンスに時間軸の概念が結びつきます。顧客の過去の体験と今の体験と未来の体験が結びつきます。具体的にどういうことかと申し上げますと、IoTによりあらゆるものがネットに繋がれば企業は顧客の行動データが大量に取得できます。そのデータをAIによってアナリティクスすることによって未来の予測・改善提案を導くことができます。これを用いて企業は既存のサービスをより良くし、顧客のエクスペリエンスの向上に努めます。このような時代でアナリティクスの部分が大事になります。IoTにより集められたビッグデータをどのような切り口で解析するのかが大事になります良い切り口の見つけ方として本書では「カスタマージャーニーマップ」の作成が挙げられています。 カスタマージャーニーマップとは顧客目線でブランド体験を考えることにより何を解析すべきなのかということを明確にする手法です。例えば、顧客セグメントを代表する仮想の顧客像「ペルソナ」を設定し、エクスペリエンスのプロセスを段階ごとに分け、顧客の気持ちの変化を追います。この際エクスペリエンスの質の低下をもたらすようなペインポイントを発見します。アナリティクスではこのペインポイントを解消できるかどうかという基準で切り口を見つけます。

 

2.エクスペリエンス4.0時代に企業に求められる姿勢

本書では企業が破壊的イノベーションを乗り越え、顧客の経験したことのないエクスペリエンスを創造し、独自のビジネスモデルを確立した状態のことを「なりわいワード」と定義しています。なりわいの見つけ方としては、まず企業が顧客に提供したいエクスペリエンスのゴールイメージを明確に描き企業の経営事業戦略に落とし込み、そして描いたゴールが絵に描いた餅にならないようにゴールから逆算して近々やるべきことにまで落とし込むことです。それでは企業はどのようにして「なりわいワード」を見つけ出せるのでしょうか?

本書では以下の4STEPにて「なりわいワード」を策定することを提案しています。

1.組織や階層の枠組みを超えてチームを作る

アウトプットを豊かにするためには様々な視点が必要になります。そこでR&D、開発、マーケティング等々の各部署の若手からベテランまでを選抜します。以下のSTEPをこのメンバーが行います。

2.未来視点でミクロ・マクロ環境分析

この分析の目的は企業が自社で提供するモノやサービスに近い領域で近未来(5年から10年後)に顧客のの生活がどうなっているのかを抽出することです。

分析では以下のフレームワークを用いてミクロ環境とマクロ環境を行います。

ミクロ分析→「5Forces」+α

「5Forces」とは企業が現在直面している業界内の競争に影響を与える要因を、

「既存競合」、「新規参入」、「代替品の脅威」、「顧客」、「サプライヤー」の5つに分類しそれぞれの力の強さや関係性をを分析することで業界構造の特徴を明確に整理するものです。これに+して「関連市場・環境」も併せて考えます。これは近年では「破壊的イノベーション」が起こることで「業界」や「競合」の組合やルールも変わるということを想定しないといけないためです。(トヨタが自動運転によりITへ、ソフトバンクが車へ といったように)

マクロ分析→PEST分析

マクロ環境分析では、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの観点で外部環境要因を整理します。

2つの分析で挙げられた項目の中から、インパクトの大小及び起こりうる確率という軸で重要度を決定しします。

3.ブランドらしさを分析し、つかかみとる未来の決定

先ほどの絞った項目の中から自社がつかみ取る未来を決定するのですが、この選択では顧客のブランドに対する「愛着」を裏切らないような選択をする必要があります。そのためにはブランドのコアバリューが何かということを考えて、それに対して各項目はふさわしいのかそうでないかを判断します。ここまでくると「未来のシナリオ」と「企業の意思」が一体化し「ブランドのありたい姿」が具体化します。

4.「なりわいワード」をまとめ、事業戦略を策定

決めた「なりわいワード」は以下の5つの観点で採点し、なりわいワードを1つに決めます。

①顧客に感動を与えられるか

②ビジネスチャンスはあるか

③顧客の数を増やせるか

④社員のモチベーションアップにつながられるか

⑤ブランドらしいか

「なりわいワード」を決定すると、ブランドの現在の立ち位置と、「なりわいワード」で具体的に示される近未来の顧客提供するエクスペリエンスとのギャップが今後の課題となるためこの領域を数年以内にどのように埋めていくかを逆算して事業戦略を策定していきます。

以上がなりわいワードの策定方法です。

 

3.AIとの上手な関わり方

よくAIの話になると人間の仕事が減るのではないかという議論が目立ちます。本書での結論から申し上げますと、「現在の仕事は減るがAIにより新たな仕事が増える」というものです。自動運転が普及しだすとタクシーの運転手の仕事は減る一方でAIが登場するとAIをうまくマネジメントするような仕事やAIを利用した仕事は増えます。つまり人間にしかできないような仕事に価値が生まれます。それではAIにできなくて人間にできる仕事とはどのようなものがあるのでしょうか?本書では4Sという観点で人間にしかできない領域にてついて述べられています。4Sは以下の通りです。

Sense

→顧客とのコミュニケーション

Serendiphity

→想定外の新たなものをみつける

Sustainability

→倫理感や良識により短期的な利益よりも長期的に顧客との関係を保つ

Security

→情報セキュリティはもちろん顧客に安心や安全の説明

このように人間らしい(AIにはできない)領域で人間の仕事が増えていくために本書では「AIは仕事を奪わない」と述べられています。

 

今回のまとめは以上となります。

ご精読ありがというございました。

 

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億トレの投資哲学 (『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』

今回ご紹介する1冊は

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』です。

著者は2ちゃんねるの時代から有名で現在総資産230億円の億トレ中の億トレのcisさんです。

個人的にB.N.Fさんクラスの最強トレーダーの一人という認識だったので本が発売されたときは速攻書店に行って購入しました(笑)

それでは本書の内容について簡潔に話していきたいと思います。

本書の構成は基本的にはcisさんの人生を振り返りつつ、いろいろなところにcisさんの投資に対する思いが書き連ねているというような感じでした。

今回はcisさんの投資に対する考え方の部分をまとめたいと思います。

 

cisさんの投資の特徴としては3点挙げられてそれは、

順張り投資法

迅速な損切

仮説を考える

というものです。

順張り投資法

順張りとは価格が上がっている銘柄を買い、下がっている銘柄を売るといったもので、言い換えるとマーケットの動きに合わせて売買するという投資法です。

このような考えになった理由が以下の2点が挙げられます。

確率論はミクロでは通用しない

確率論はミクロでは通用しないというのはどういうことかと言いますと、例えばコインを投げて表が出る確率、裏が出る確率はどちらも2分の1であるため、1回投げて表が出ると、次は裏がでやすいのではないかと考える人は多いのではないでしょうか。しかし実際は次の結果もどちらも2分の1です。コインの裏表の確率は幾度とない試行回数、すなわちマクロでみると収束はするのですがミクロでは全く関係ないのです。

また、株はそもそも確率論で動かないので上がった銘柄はいずれ下がるといった考え(逆張り投資法)は間違いだと主張しています。

今動いている方向に賭ける方が優位性が高い

であれば方向が全く読めないということではということになりますが、短期的な優位性は今動いている方向にあります。今動いているという事実が唯一の優位性なのです。

迅速な損切

また投資で大事なのは迅速な損切という話で、cisさんのトレードの勝率は3割程度でトータルプラスという話が挙げられていました。すなわち7割負けていても損失が少ないため、3割の大きな利益でトータルプラスにもっていくのです。

負ける投資家は損大利小のトレードcisさんは損小利大のトレードがという構図が見えてきますね。

仮説を考える

この本ではいくつかcisさんが実際に行った取引をどの銘柄をどのくらい買ったのかというくらい詳細に語られているのですが、どの話にも共通して言えることは仮説力の高さです。すなわち、今〇〇ということが起きているがこれはいずれ△△になると予想されるのでこうしよう、といった具合に自分の中でロジカルに話がを結び付けて未来を予想する力が強いと感じました。

 

以上がcisさんの投資の特徴となります。

本の中では子供時代の経験等も語られているのですがどの話でも、期待値、優位性といった言葉が散りばめられています。そういったことを幼いころから考えていたからこそリスクリターンが上手く取れた期待値の高いトレードができるのだなぁと感じました。

今回のまとめは以上になります。ご精読ありがとうございました。

 

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メモで夢が叶う? (『メモの魔力』

今回紹介する一冊は

メモの魔力』です。

著者はSHOWROOMの生みの親でもあり、20代にして社長になられた前田祐二さんです。最近では女優の石原さとみさんとの熱愛報道が報じられたりと

なにかと世間で取り上げられることが多くなったので知っておられるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

前田さんはメモの狂気と周囲からと言われSHOWROOMもメモ書きから始まったそうです。そんな前田さんが執筆された『メモの魔力』についてまとめていきたいと思います。

 

本書は大きく分けて以下の5段構成になっております。

1.メモを取るメリット

2.メモの取り方

3.抽象化の仕方

4.メモによる自己分析法

5.メモを用いた夢の叶え方

 

まとめていて気付いたのですが話の流れがとても綺麗で後述しますがやはり構造化能力が高い方なのだなと感じました。

それでは各項目について詳細に説明します。

 

1.メモを取るメリット

そもそもなぜメモをとるのかということなのですが、

スキル面でいうと以下の5つのスキルが向上します。

①アイデア

これは後述していきますがメモを取り(ファクトベース)、抽象化する癖をつけることでアイデア力が身に付きます

②情報獲得力

これはメモを取ることよりもその姿勢によるものでありますが、ただ漠然と人の話を聞いたり、身の回りの物を眺めていても情報は右から左に流れ続けます。一方でメモを取ろうという意識があれば何かメモすべきことはないかと常に情報感知アンテナが3本ビンビンに立っている状態ですので情報獲得力が向上します。

③傾聴能力

これはコミュニケーションの部分の話で、相手の話を聞くときにメモを取りながら聞くのは相手にとっても自分の話を聞いてもらえているという好印象につながり、より深い話ができることがあります。

④構造化能力

メモを取る際にはどこに何を書くかということを工夫するため、相手の話を聞くときもこの人は今全体の中のどの部分の話をしているかということを認識する力が向上します。この力が身につくと相手の話を端的にまとめることができたり、会話の展開がロジカルなるので、ビジネスマンにとっては是非身に付けたいスキルです。

言語化能力

メモに取るときにに自分なりの言葉でまとめるため言語で表す能力が向上します。

 

このようにメモをとるという行為は簡単に見えてかなり大きな結果をもたらすことが分かります。

それでは次に実際どのようにメモを取るのかということについて説明します。

 

2.メモの取り方

メモの取り方としては見開き2ページをフルに使う方法で下の図はどの部分になにを書くべきかということを表しています。

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各項目について簡単に説明しますと、

ファクト・・・会議などで聞いた内容をメモする部分(一般的なメモのイメージ)

標語・・・ファクトで書いたことを端的なネーミングでまとめるところ

抽象・・・ファクトから言えるエッセンス、本質

転用・・・抽象化したものが他のことでどのように応用できるか

このように、ファクト→抽象→転用の流れをワンセットにしてメモすることを心掛けることが大切です。

このメモの特徴としてはメモの左側がファクトベースで左脳を使う部分で

メモの右側がアイデアなどに繋がる右脳の部分となり、一般的に右脳を使うのは難しいので最初はメモの右側がスカスカな状態になることが多いですが慣れてくれば埋まってくるそうです。

次にどのように抽象化するのかについて説明していきます。

 

3.抽象化の仕方

抽象化の仕方は3つあります。それぞれがファクトに対してどのような問いを投げかけるかという違いです。

1.What型

これは、個別の現象をひとまとまりにしてネーミングする抽象化です

(例、空から降るさまざまな形状の水の塊をひとくくりに雨と呼ぶ)

これは今回のメモではあまり使用しません。

2.How型

ファクトにどのような特徴があるのかをまとめる方法です。

(〇や△が流行っている→〇や△には共通してどのような特徴があるのか)

3.Why型

なぜそのようなファクトが存在したのかというところで抽象化する方法です。

(例、~がヒットした→なぜヒットしたのかを考えてエッセンスとして抽出)

 

このように抽象化とは物事の本質をとらえる作業と言い換えることができます。

 

ここまでメモのメリットやメモの取り方について触れてきましたが

応用編としてメモを使った自己分析及び夢の叶え方について説明していきます。

 

4.メモによる自己分析法

自己分析は就活を経験された方なら一度はやったことがあるのではないでしょうか?

なぜ今更?と疑問に思うかもしれません。しかしAI時代に突入する現在機械に代替できない人間らしい生き方をしている人に価値が集まる時代であり、そのような生き方を送るには自分が何者であるかということを明確化することは必須の作業です。

自分を明確化するために自己分析があるのですが、

この自己分析も先ほど申し上げたメモの使い方で行うことで非常に質のいい自己分析ができるようになるのです。

具体的には、自己分析の際に用いる質問集みたいなものを用意して各質問に答えていきます。ここでは例として、『自分が楽しいと感じるのはどのような時ですか?』という質問を用います。その質問に対して、ファクト欄に具体的に書いていき、抽象欄にそれらから導き出されることを抽出し、転用欄に、抽出したことを満たすにはどうすべきかということをメモします。この作業を各質問に対して行っていくとかなり自分の趣向が見え、自分についての理解が深まります。

 

5.メモを用いた夢の叶え方

最後にメモを用いた夢の叶え方です。

最初に行ってほしいのが夢のリストアップです。

リストアップしたら優先度順で分けます。ここで優先度の付け方としては、自分の価値観との軸(先ほどにの自己分析で見つける)かもしくはワクワクするかどうかで決めます。最優先事項が1つであればそれを、2つ以上あればなんとか1つにまとめるかまたは割り切って取捨選択します。

最後に決めた夢の実現に向けて具体的な行動レベルで行動リストを細分化します。

この工程を踏むことで夢の曖昧さがなくなり逃げ道をふさぐことができます。

そうして生まれた細かいタスクをスケジュールに組み込んで行動していけば 確実に夢の実現に繋がります。

また、これはメモとは関係のない話なのですが著者はいい夢の設定方法として

SMARTというフレームワークを紹介していたのでシェアしたいと思います。

SMARTとは以下の5つの頭文字で

S・・・Specific(具体的)

M・・・Measurable(定量可能)

A・・・Achievable (達成可能)

R・・・Related(自分の価値観に合う)

T・・・Time(期限を設ける)

この5つの要素を満たす夢の設定が望ましいというものでした。

 

最後に本書を読んで印象に残った話をします。

皆様は流れ星にお願いごとをすると願いが叶うという話はなぜか説明できますか?

筆者の見解としては流れ星といういつ流れてくるかわからず短時間で消えてしまうものに対してとっさに反応できる人というのは、常日頃自分の夢について考えられている人なので夢をかなえることができるという話をされていてなるほどと感じました。

 

この記事が一人でも多くの方の為になれれば幸いです。

ご精読ありがとうございました。

 

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知ってますか?『未来の』働き方 (LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略)


今回紹介する1冊は

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』です


ハーバードビジネス・レビューの読者が選ぶベスト経営書2017年度に選ばれたり、

現在までで25万部ほど売れている有名な書籍ですから書店などで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?

 

それでは本の内容を簡潔にまとめたいと思います。

 

本書の概略を最初に述べますと、

 

個人が100年という長い寿命を全うする時代に突入した中で従来のライフステージ、すなわち20歳まで学校に行き、65歳まで働き、そこから余生を過ごすことが困難になり、我々は新しいライフステージを歩んでいかなければならない

 

というお話になっております。

それではなぜ、従来のライフステージを期待するのが難しいのか

ということを述べていきたいと思います。

 

なぜ、従来のライフステージを期待するのが難しいのか

 

これは主に金銭面で厳しくなるからです。

我々は引退後のお金のやりくりの大部分を年金に依存している現状があります。

しかし、少子高齢化が進み、従来よりも寿命が伸びている現在、

年金という制度時代が機能しなくなっていく

のではないか?と考えられます

実際1960年代では労働世代に対する引退世代の割合は10%、すなわち若者10人で高齢者1人を支える時代でした。

一方で2050年にはこの割合が70%、すなわち若者10人で高齢者7人を支える時代になると予測されています。この事実から考えても年金という制度がいかにあてにできないかということが分かります。

このような事態になると我々はもはや65歳で引退するというライフステージを歩むことはできず人によっては80,90歳まで働く必要が生じてきます。

すなわち、

新しいライフステージでは従来よりも長い期間働くことが求められます。

それではこの新しいライフステージではどのようなステージが存在するのでしょうか

 

新しいライフステージとは

本書では大きく分けて以下の

3つのライフステージが紹介されています

 

エクスプローラ

自分は何が得意で何を好む人間なのかと、自分の信念と価値観を深く考えるステージ

②インディペンデントプロデューサー

自分の職を生み出すステージ

ポートフォリオ・ワーカー

異なる種類の活動を同時に行うステージ

 

新しいライフステージではこれら

3つのステージをグルグル回し、資産バランスをマネジメント

していくことが求められます。ここでいう資産とは

有形資産(金銭)

無形資産(健康、友人、スキル)のことを指します。

考えてみれば私たちは資産といえば有形資産であるお金を想像しがちですが、人生の幸福とはなにかを考えた際に、健康であること、心を許せる友人、パートナーの存在というのはお金に匹敵するくらいに大事な要素であるのでこの無形資産という視点は大事だなと思いました。

これらのステージは全て現在のライフステージには存在しない(インディペンデントプロデューサーに関しては起業家と似たところがある)のでなかかな想像することが難しいのですが本書ではジミー、ジェーンといったキャラクターが登場し具体的なライフプランの歩み方が書かれています。

 

ここまでが本書の内容を簡単にまとめたものになります。

 

結局何が言いたいのかということを考えたのですが

長く働かないといけないに突入する時代だからこそ新しいライフステージを駆使して楽しく働こう

ということだと思います。

 

本書は400ページ以上あり大変読み応えのある1冊ですのでまとめきれなかった部分も多数ございますが、少しでも参考になれば幸いです。

ご精読ありがとうございました。

 

次回記事

book-jitan.hatenablog.com

 

 

当ブログについて

みなさま初めまして。当ブログの管理人K・Mです。

ここでは当ブログの意義について軽く説明したいと思います。

そもそもなぜ私自身がこのようなブログを立ち上げるに至ったかについては

以下の2つの理由があります。

 

① 読んだ本について発信できる環境が欲しい

② 忙しくてなかなか読書をする時間が取れない方でも短時間で本のエッセンスを知ることができる記事というものにニーズがあるのではないか

 

①については私自身年間100冊以上の本を読みこなす一方で、読んだ後にアウトプットをする習慣がなかったために読書で得た知識が定着しにくいという現状がありました。

一方で②のように忙しい学生やビジネスマンの中には読書をしたいけれどもなかなか時間も取れないという方も一定数いるのではないかと考えました。

 

そこで当ブログを立ち上げるに至りました。

 

当ブログではなかなかゆっくり読書をすることができないであろう方々を対象としているため、読んだ本の内容については長くても5分以内(3000文字以下)で読めるような時短記事を書こうと思います。

 

取り扱う本は最新のビジネス書からテクノロジー自己啓発本等様々なものをご紹介していこうと考えておりますのでご期待ください!