AIで仕事はどうなるの?【IoT時代のエクスペリエンス・デザイン】
今回取り上げる1冊は
『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』です。
みなさまIoTとは何かご存知でしょうか?
IoTとは Internet of Things でモノのインターネットと呼ばれ、全てのものがネット上で繋がるようになった状態のことを指します。今回の本はそういったテクノロジーの発展に対して企業はどうあるべきかといったことを提言する内容となっております。
今回は以下の項目でまとめたいと思います。
1.エクスペリエンス4.0について
2.エクスペリエンス4.0時代に企業に求められる姿勢
3.AIとの上手な関わり方
1.エクスペリエンス4.0について
エクスペリエンス4.0を説明するためにそもそもエクスペリエンスについての説明をしたいと思います。
エクスペリエンスとは企業のブランド体験を意味します。
エクスペリエンス1.0~エクスペリエンス3.0は以下の通りです。
エクスペリエンス1.0
PCやOSを使用したときの満足感等のことを意味します
この段階でエクスペリエンスという概念が生まれました
エクスペリエンス2.0
エクスペリエンスが企業の差別化のドライバーとなります。
これを利用したのがAppleやスターバックスです。iTunesではCDのように所有するのではなくて、音楽を聴くという体験に価値を見出します。1杯のコーヒーよりもネットが繋がる第三の場所という体験に価値を見出します。
エクスペリエンス3.0
FacebookやTwitter等で代表されるSNSの存在により個人の体験が瞬く間に集団の体験へと共有される時代を指します。
この時代には顧客のエクスペリエンスを共有できるようなプラットフォームの創造が企業に求められます。従来のような企業からマスメディアを用いた一方的なブランディングではなく、顧客による推奨や評価の力を用いたブランディングが求められる為です。
例えばナイキ社ではNIKE+というランニング結果などをユーザー同士でシェアできるコミュニティを作製しています。
そして本書で取り扱うエクスペリエンス4.0です。
エクスペリエンス4.0ではエクスペリエンスに時間軸の概念が結びつきます。顧客の過去の体験と今の体験と未来の体験が結びつきます。具体的にどういうことかと申し上げますと、IoTによりあらゆるものがネットに繋がれば企業は顧客の行動データが大量に取得できます。そのデータをAIによってアナリティクスすることによって未来の予測・改善提案を導くことができます。これを用いて企業は既存のサービスをより良くし、顧客のエクスペリエンスの向上に努めます。このような時代でアナリティクスの部分が大事になります。IoTにより集められたビッグデータをどのような切り口で解析するのかが大事になります良い切り口の見つけ方として本書では「カスタマージャーニーマップ」の作成が挙げられています。 カスタマージャーニーマップとは顧客目線でブランド体験を考えることにより何を解析すべきなのかということを明確にする手法です。例えば、顧客セグメントを代表する仮想の顧客像「ペルソナ」を設定し、エクスペリエンスのプロセスを段階ごとに分け、顧客の気持ちの変化を追います。この際エクスペリエンスの質の低下をもたらすようなペインポイントを発見します。アナリティクスではこのペインポイントを解消できるかどうかという基準で切り口を見つけます。
2.エクスペリエンス4.0時代に企業に求められる姿勢
本書では企業が破壊的イノベーションを乗り越え、顧客の経験したことのないエクスペリエンスを創造し、独自のビジネスモデルを確立した状態のことを「なりわいワード」と定義しています。なりわいの見つけ方としては、まず企業が顧客に提供したいエクスペリエンスのゴールイメージを明確に描き企業の経営事業戦略に落とし込み、そして描いたゴールが絵に描いた餅にならないようにゴールから逆算して近々やるべきことにまで落とし込むことです。それでは企業はどのようにして「なりわいワード」を見つけ出せるのでしょうか?
本書では以下の4STEPにて「なりわいワード」を策定することを提案しています。
1.組織や階層の枠組みを超えてチームを作る
アウトプットを豊かにするためには様々な視点が必要になります。そこでR&D、開発、マーケティング等々の各部署の若手からベテランまでを選抜します。以下のSTEPをこのメンバーが行います。
2.未来視点でミクロ・マクロ環境分析
この分析の目的は企業が自社で提供するモノやサービスに近い領域で近未来(5年から10年後)に顧客のの生活がどうなっているのかを抽出することです。
分析では以下のフレームワークを用いてミクロ環境とマクロ環境を行います。
ミクロ分析→「5Forces」+α
「5Forces」とは企業が現在直面している業界内の競争に影響を与える要因を、
「既存競合」、「新規参入」、「代替品の脅威」、「顧客」、「サプライヤー」の5つに分類しそれぞれの力の強さや関係性をを分析することで業界構造の特徴を明確に整理するものです。これに+して「関連市場・環境」も併せて考えます。これは近年では「破壊的イノベーション」が起こることで「業界」や「競合」の組合やルールも変わるということを想定しないといけないためです。(トヨタが自動運転によりITへ、ソフトバンクが車へ といったように)
マクロ分析→PEST分析
マクロ環境分析では、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの観点で外部環境要因を整理します。
2つの分析で挙げられた項目の中から、インパクトの大小及び起こりうる確率という軸で重要度を決定しします。
3.ブランドらしさを分析し、つかかみとる未来の決定
先ほどの絞った項目の中から自社がつかみ取る未来を決定するのですが、この選択では顧客のブランドに対する「愛着」を裏切らないような選択をする必要があります。そのためにはブランドのコアバリューが何かということを考えて、それに対して各項目はふさわしいのかそうでないかを判断します。ここまでくると「未来のシナリオ」と「企業の意思」が一体化し「ブランドのありたい姿」が具体化します。
4.「なりわいワード」をまとめ、事業戦略を策定
決めた「なりわいワード」は以下の5つの観点で採点し、なりわいワードを1つに決めます。
①顧客に感動を与えられるか
②ビジネスチャンスはあるか
③顧客の数を増やせるか
④社員のモチベーションアップにつながられるか
⑤ブランドらしいか
「なりわいワード」を決定すると、ブランドの現在の立ち位置と、「なりわいワード」で具体的に示される近未来の顧客提供するエクスペリエンスとのギャップが今後の課題となるためこの領域を数年以内にどのように埋めていくかを逆算して事業戦略を策定していきます。
以上がなりわいワードの策定方法です。
3.AIとの上手な関わり方
よくAIの話になると人間の仕事が減るのではないかという議論が目立ちます。本書での結論から申し上げますと、「現在の仕事は減るがAIにより新たな仕事が増える」というものです。自動運転が普及しだすとタクシーの運転手の仕事は減る一方でAIが登場するとAIをうまくマネジメントするような仕事やAIを利用した仕事は増えます。つまり人間にしかできないような仕事に価値が生まれます。それではAIにできなくて人間にできる仕事とはどのようなものがあるのでしょうか?本書では4Sという観点で人間にしかできない領域にてついて述べられています。4Sは以下の通りです。
Sense
→顧客とのコミュニケーション
Serendiphity
→想定外の新たなものをみつける
Sustainability
→倫理感や良識により短期的な利益よりも長期的に顧客との関係を保つ
Security
→情報セキュリティはもちろん顧客に安心や安全の説明
このように人間らしい(AIにはできない)領域で人間の仕事が増えていくために本書では「AIは仕事を奪わない」と述べられています。
今回のまとめは以上となります。
ご精読ありがというございました。
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